|
|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
先月からレッスンが始まった69歳でピアノ初心者のAさん。
先週のレッスンの課題は「ドシドシいばりやマーチ」でしたが、
それまでにレッスンした「ピーターのたいこ」、「ドレドレいばりやマーチ」
「ドレドレぴょんぴょんマーチ」も練習して来られました。
「ドレドレいばりやマーチ」は右手の1と2の指、2と3の指で、
「ドシドシいばりやマーチ」は左手の1と2の指、2と3の指で
曲名通りの音を太っちょうさぎが
さも威張ってぺたぺたと歩くようなイメージの音で演奏します。
たった2音ですが、マルカート(はっきりした音)で演奏できるように
しっかりと指の独立を身につける目的があります。
1本ずつの指を独立させて演奏するのはなかなか難しいことなので
この曲には大抵どの人も時間がかかると思いますが、
先へ進んだ時に苦労しないようにするため
子どもも大人も妥協せずにこの曲に取り組むことが肝心だと思っています。
Aさんのすごいところは、先へどんどん進むのではなく
1曲1曲を自ら納得のいくまで練習されるところです。
「なかなかね、この指が言うことをきかなくてね。」
「それは力が入っているからです。
私も同じですが、自分では気が付かないものなんですよね。
指を付け根から持ち上げてまっすぐストンと打つだけで
ピアノってはっきりとしたいい音が出てきますけど、
まだ指に力が入っていて、手を動かして弾いていらっしゃるので、
とても硬い大きな音になっていますね。」
「ああ、そうか。私の場合は弾きにいっているんですね。」
「そうです、そうです!わあ、いい表現ですね。」
「ゴルフでも一緒なんですよ。スッとクラブでボールを自然に打てばいいのに
どうしてもわざわざ打ちに行ってるんですよね。
そうか、そうか、そういうことか。」
「私はゴルフをしないからわかりませんけど、
野球でも何でも力を抜かないといけないのはきっと同じですね。」
" 弾きに行く”。うーん、言い得て妙なり!
「Aさんは熱心に練習されるので、私もレッスンが楽しみです(^^♪」
「いやいや、私は全然頑張ってもいないし、熱心ではないですよ。」
と、にこにこしながら小気味よく答えて帰られたのもまた妙なりでした(^^♪
Cちゃんはまだ5歳の女の子ですが毎週きちんと練習してきて、
満点の笑顔ではっきりと受け答えもできます。
今週は「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本1巻」の中の
「スケートすべり」「ブランコのり」をレッスンしました。
この2曲は全く同じ譜面ですがテンポが違うため
表現する音楽が変わることを体験できるようになっています。
このあとに続く4曲の「こもりうた」「めざめてジャンプ」
「ぬきあしさしあし」「いばってあるく」も全く同じメロディーですが
アーティキュレーションが違うため表現する音楽がそれぞれ変わってくる、
1つのメロディーで6度美味しいヴァリエーションのような構成になっています。
先週のレッスンではスケートをすべったり、ブランコを漕ぐ真似を一緒にして
情景を想像しながらピアノで弾いてみました。
「Cちゃん、スケートしたことある?」
「うん、あるよ。でもCちゃん4歳の時だったから、
滑れなくてかべにもたれてゆっくりすすんでた(笑)!」
「そうだよね、初めは怖いよね。(笑)
オリンピックでフィギュアスケートの羽生選手とかが滑っているの見た?
すいすいと滑る真似をちょっと一緒にやってみようか。」
レッスン室の床の上でスケートを滑る真似を2人でしてからピアノで弾いてみました。
次は全く同じ譜面の「ブランコのり」。
でも、テンポの指示は”とてもゆっくり”になっています。
「ブランコを立って漕いだことあるかな?」
「うん、あるよ。いっぱいあるよ。」
「そう、すごいね!
ブランコって漕ぎ始めはうーん、うーんってしゃがんでゆっくりの動きでしょ。
曲名の横に、”とてもおそく”って書いてあるのはその様子をイメージしているんだよ。」
ブランコを漕ぐ真似も2人で一緒にやってみました。
ピアノでゆっくりと弾くのはなかなか難しいので、
場面をイメージして実際に動いてみると音で表現する時の助けになります。
この2曲が先週の宿題となりました。
そして今週のレッスンではしっかりしたタッチの音で弾くことができました。
真ん中のド,レ、シの音しか使わないこの2曲を
とても楽しそうに弾いていて嬉しくなりました(^^♪
「Cちゃん、すごくよかったあ!いっぱい練習したでしょ。
はなまるだよ」
「わーい!はなまるだ!やった、やった!\(^o^)/」
習いたてのこんな小さな子どもでも、
たった3つの音の曲を自分の表現した音楽にして伝えられることを
Cちゃんから学んだ嬉しいレッスンでした。
kちゃんは「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本2」の中の「春風」を
去年の12月からずっと練習していました。
右手の単旋律のメロディーと左手の伴奏の和音をレガートに弾くイ短調の曲です。
寒い冬に代わって待ち遠しい春の訪れを告げるように
最後のAメジャーの和音は優しい春風を表現しています。
左手の和音をレガート(なめらか)に弾くことはなかなか難しく、
その上、右手のメロディーを浮かばせながら
両手でレガートに演奏するのはもっと難しいので、
kちゃんも苦戦していました。
「さあ、よく練習できたかな?」
「うん!多分出来たと思う。」
「それは楽しみね!はい、ではどうぞ。」
♩♩♪♫♩♫♪♩♩♪♫♩♫♪♩♩♪♫♩♫♪
「わあ、最後のフレーズがとってもステキだったわ。
右手と左手のバランスがすごく良くて本当にいい響きだった!
春風も優しくてよかったわあ(^^♪」
「わーい!やったあ\(^o^)/」
とっても嬉しそうなkちゃん。
最後のフレーズは私でもきっと出せないくらいバランスの良い響きだったので
とても印象に残りました。
右手の音がかき消されないように左手の音を弾いてね、
と言っていたことをその通り素直に練習していたことが
とても伝わってきました。
去年の発表会でのkちゃんの感想文の一節にはこんなことが書かれていました。
『もっとスラーに気をつけて流れるようにつまらずに弾きたいと思います。
これからもコツコツと練習していきたいと思いました。』
感想文に書いたことをちゃんと実行しているのです。偉い!
私は例年通り、生徒達と保護者の方々が書いた発表会の感想文の抜粋を
レッスンのお便りに載せました。
お母さんに電話で今週のレッスンの様子をお伝えすると、
「そうなんです。最近、よく練習していますわ。
またお便りで感想文を見ておきます。ありがとうございます。」
と、嬉しいお話が聞けました。
厳しい寒さが続く毎日ですが、
kちゃんの演奏した「春風」がポカポカと心を温めてくれました(^^♪
今週の初レッスンは、
子どもたちから得るものがたくさんありました。
昨年12月からレッスンに通ってくれているZ君は、
おふざけの大好きな(^▽^;)いつもニコニコ笑顔で元気な男の子です。
12月最後のレッスンで鍵盤をゲンコツで一緒にリズム打ちしたときのこと。
「Zくん、リズム打ちする前に先生みたいに息をしてみてね。
まず先生がやってみるね。スー♩ ♩ ♩ 」
続いてZくん。
「ハーッ ♩ ♩ ♩」
「Zくん、吐くんじゃなくて吸うんだよ!スーってね。」
「ハーッ」
「いやいや、それじゃゴジラが火を噴いてるみたい!(笑)スーだよ。」
「(笑)だってー。できひんもん。」
子どもにとって意識して息を吸うというのは難しいことで、
その日Zくんはどうしても息を吸うことができませんでした。
ところが今週のレッスンではスーっと息を吸ってリズム打ちができるようになっていたのです。
「わあ、Zくん、息を吸うことができるようになったんだね!すごい、すごい!」
「はーい!スー、スー(笑)」Zくんはうれしそうに何回も息を吸いました。
2週間の冬休みの間にきっとZくんはお家で息を吸う練習をしたのでしょう。
小さな6歳の男の子の一生懸命な力が可愛くて愛らしくてたまらなくなりました(^^♪
次の日レッスンにやってきたNちゃん。
Nちゃんは「ピーターラビットと学ぶピアノ教本1」の
「かわいいことり」を練習してきました。
曲の中には全部で5羽のことりの鳴き声が出てきて、
それぞれの鳴き声を違う音域で弾く練習もしていたので、
そのイメージを絵に描いてきてもらいました。
Nちゃんは、レッスン室に入るなり真っ先にその絵を見せてくれました。
「Nちゃん、この絵には2羽しかことりがいないんだね。」
「ううん、ちゃんといるよ。
2枚目に描いたリンゴの木の中にね、3羽かくれているの。」
5羽のことりがちゃんと描かれている絵しか頭になかった私は
自分が狭い既成概念の中だけでものを考えていることを思い知りました。
姿は見えなくても鳴き声だこけが聴こえてくるNちゃんの豊かなイマジネーションに
とても心を打たれました。
「それじゃ、3羽のことりは少し小さな鳴き声になるね。」
Nちゃんは曲の中に出てくる最後の3羽のことりの鳴き声を
そっと弾けるように練習しました。
そして、次にレッスンにやってきたのはIくん。
Iくんは口数は少ないけれど、
こちらの言うことをじっと聞いていて、
しっかりと課題をこなして来ます。
今週は「ピーターラビットと学ぶピアノ教本1」の1曲目、
「ピーターのたいこ」を練習して来ました。
この曲は、ピーターラビットがたいこを打つように
真ん中のドを左右の指で弾く曲です。
「Iくん、よく練習してきたね。
では、とりがたいこを叩いたらどんな音になるかな?」
「うーん・・・レ」
「えっ?レになるの?わあ、違う音になるんだ。それもありだね。
そんなふうに答えたのはあなたが初めてだわ。おもしろいね。」
強弱や高さ、長さ、テンポの違うドが
応えで返ってくるだろうと思い込んでいた浅はかな私には、
Iくんのユニークな発想がとても新鮮でした。
子どものイマジネーションの世界は本当に豊かで色鮮やかで
いつも私の心を動かし、硬い頭を柔らかくしてくれます。
この素晴らしい子どもたちの力とイマジネーションの世界を狭めることなく、
大切に守り育てていきたいと思った新年初のレッスンでした。