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12月のある日曜日、和谷泰扶さんのハーモニカ演奏を聴きに出掛けました。
和谷さんのハーモニカは楽しい曲も、哀愁に満ちた曲も心に響く素晴らしい演奏で、
伴奏をされる奥様のピアノ演奏も素晴らしく、
お誘いを受けてすぐに申し込んでその日を楽しみにしていました。
ところが、3日前に体調があまり優れず行くのを諦め・・・でも、
どうしても聴きたくて、もう一度お願いして席を作ってもらいました。
コロナ禍で人数は15人と少人数のサロンコンサートでしたので、
席を設けて下さったことは本当に有難いことでした。

演目は超絶技巧の現代曲から、良く知られた名曲までバリエーション豊かなものでした。
中でも池辺晋一郎さん作曲の「ハーモニカは笑い、そして沸騰する」は、
ハーモニカのような小さな楽器でよくあのような演奏が出来るなあ
と思うような超!超絶技巧の曲で、
「酸欠になりませんか?」と今まで聴衆の方から尋ねらることもあったほどだと、
ユーモアたっぷりにお話されたのも和谷さんの魅力の一つを感じました。

そして、最終の曲はピアソラの「ブエノスアイレスの冬」でした。
ピアノ演奏で初めて聴いた時から大好きになり、
何度も聴いたことがあるのに涙が出てきて止まらなくなりました。
そんな様子をご覧になってくださった(?)のかどうかわかりませんが、
「今年1年、色々なことがあったことでしょう。いい事もあれば悪い事もあったと思いますが、
すべてを洗い流して忘れ去りましょう。」のコメントのあとに
アンコールでピアソラの「忘却」を演奏して下さったのです。
私は数年前にやはり和谷さんの演奏でこの曲を初めて聴いた時から大好きになり、
思いもかけずこの曲がとても間近で聴けるとは夢にも思っていませんでした。
和谷さんの思いやりある言葉と魂のこもった素晴らしい音色は心に染みわたりました。
音楽を聴いていたらそのうちに、今年一年の様々な想いがこみ上げてきて、
抑えようと思っても涙は出るばかりで、終いには嗚咽まで出てしまい、
他の聴衆の方々にきっとご迷惑をおかけしたに違いありません。
それなのに、見ず知らずの隣席の方は泣き止まない私の背中をさすりながら、
「大丈夫ですか?」と優しく声を掛けて下さり、その温かさに心が打たれました。
音楽と人の温かさに救われた至福の時間でした。

やっぱり音楽で子ども達を育てたい、音楽の本当の楽しさを伝えたい、
自分も出来るなら色々な曲を弾いてみたい、
そして人間性豊かになりたいという想いがその時溢れてきました。
新年がよい年になることを願うばかりです。

プロフィール
HN:
番匠 浪路
Webサイト:
性別:
女性
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