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Sちゃんは笑顔の愛くるしい、元気いっぱいの女の子。
レッスン曲は「ピーターラビットと学ぶはじめてのピアノ教本2」の中の「春風」という曲。
この曲はイ短調の曲ですが、最後に右手のAメジャー和音によって優しい春風が吹き、春の訪れを表現した音楽です。
「何だか硬いね。春風っていうより、うーん、春風が窓ガラスにあたっている感じだわ。(笑)
なんで硬いんだろう?」
「流れていないから?」
「うん。1音ずつラーソ、ラードって鳴っているね。」
「レガート(なめらか)じゃないのかあ・・・」
「そうそう。Sちゃんのはレガートというよりマルカート(一つ一つの音をはっきりと)になっ
ているね。先生が2通りの演奏をしてみるから、1回目と2回目は何が違うかよく聴いていて
ね。」
私が2通りの「春風」を演奏。
「どう?同じだった?」
「2回目の方が流れていた!レガートだった!」
「そうだね。でも、流れていたのにはレガートのほかにもう一つ理由があるんだけど、1回目と
2回目では他に何が違っていたかわかるかな?」
「・・・」
「では、もう一度2つの演奏をしてみるから、何が違うかよく聴いていてね。」
もう一度、私が2通りの「春風」を演奏。
「1回目と2回目では何が違ってた?」
「えーっと、最初のは長くなってる?」
「長さではなくて、何が違うのかな?」
「・・・2回目の方が、速い?」
「そう!速さが違うんだよ。テンポが速い方が流れていたでしょ?Sちゃんが弾いたのは、テン
ポが遅くて硬かったね。もう一度テンポを速くしてレガートに弾いてごらん。」
「うん、わかった!」
なめらかさと、テンポアップが決め手となり、左手の和音もしっかりとして、気持ちよさそうに弾いているSちゃん。
「わあ、最初の演奏と全然違う!最後の春風の和音もすごくきれいだったわ。今の演奏が一番よ
かったね。」
優しい「春風」の演奏ができて、何ともうれしそうな顔のSちゃん。
この曲をイメージしてSちゃんが描いた絵はこちら。
とても心の優しいMちゃんの、今週のレッスンでの出来事です。
レッスン曲は、「ピーターラビットと学ぶはじめての教本2」の中の
「いなかねずみの馬車の旅」という曲。
この曲は、荷物にまぎれこんだねずみが、
眠っているあいだに、いっしょに馬車につまれて町へ行ってしまうという、
ピーターラビットの絵本のお話の一場面を表現した音楽です。
「Mちゃん、 音楽が流れていないから、
馬車がガッタンゴットンと進んで行くというより、
その場で馬が足踏みしているみたいね。(笑)
2分の2拍子の曲なのに、4分の4拍子になっているし、
一音ずつ聴いているからだよ。」
「2分の2拍子ならこんな感じかな?」
Mちゃんがもう一度その曲を弾き始めると、
「Mちゃん、今度は早すぎて馬車じゃなくて、
汽車になっちゃってるよ。(笑)
大きな2拍子で、ゆったりとね。
それで1フレーズをひとまとまりにして聴いてごらん。」
その一言で次の演奏は、
馬車がガッタンゴットンと揺られて、
遠ざかっていく様子がのんびりと表現された
いい曲になったのです。
「さっき弾いたのと比べて全然違う!
音楽がちゃんと流れていたよ!
馬車が遠ざかって行くところが特によかったわ。
この曲、あなたにぴったりね。ゆったり感が何ともぴったりだわ!」
「だって私、マイペースだから。
それに、クラスでも一番個性的って言われてる。(笑)」
「ふうーん。オンリーワンでいいんじゃない!?」
「だって、友達が ”私は夢の国出身です!”って言ったのを
私、ほんとうに信用しててん!(笑)」
「それは、あなたが素直だってことよ。
ずっとそのままでいてほしいなあ。」
純真な心に感動した、楽しいレッスン時間でした。
みんなのいつもと変わらない元気なにこにこ顔を見ると、本当にホッとします。
そんな可愛いみんなの笑顔を見ながら、
「自分の音を聴く力をつけて、少しでも演奏に没頭できる喜びを感じてほしい
(私自身も含めて)」
という願いがムクムクッ!と湧いてきました。
この願いがかなうように、今年もみんなといっしょに楽しくレッスンしたいです。
さあ、どんなことができるか、楽しみ楽しみ!