Sちゃんは笑顔の愛くるしい、優しくて元気いっぱいの女の子です。
今練習しているのは、このブログにも数回登場した「祈り」という曲です。
この曲は左手が単旋律メロディーで、
右手は3音や4音からなる和音の連打が続いています。
メロディーをしっかり歌わせて弾いて欲しいのはもちろんですが、
右手の和音をどの音も均等に響くように、
レガート(なめらか)につなげて弾いて欲しい曲です。
そのためには、自分で弾いている音をよく聴き続けることが大切です。
「Sちゃん、すごくよくなってる!この前と全然違うわ!
右手の和音が汽車のシュッポシュッポみたいに切れ切れだったけど、
今日はレガートになってる!テンポも最後まで早くならないで、
アンダンテ(ゆっくり)になってるわ。
すごい、すごい!よく練習したのがわかるよ。」
「うん!だって私、この曲をずっと練習してたもん。ずっとこればっかりやで。(笑)」
「そう、えらいね。」
先々週のレッスンまで、なかなか音を聴き続けることができなかったSちゃんの「祈り」は
先週のレッスンでとてもよい演奏に変わっていました。
その後に弾いたハノン練習のピアノスタッカート(弱い音で弾く短く切った音)も、
一週間前まで短い音や長い音が混ざってテンポの定まらないまちまちの状態でしたが、
最後まできっちりと音を聴き続けて均等な柔らかい音で弾けていました。
「Sちゃん、ハノンもこの前と全然ちがう。とてもよく聴けてるわ。もう先生感激だわ!」
「ふふふ。」うれしそうなSちゃん。
「今日みたいに丁寧に自分の音を聴きながらこれからも練習してね。
こうやって自分の音をきちんと聴き続けることができるようになると、
不思議なんだけど、普段の生活の中でもいろいろなことを丁寧にしていこうって
変わっていけるんだよ。例えば、適当に片付けていたことをちゃんと整理したり、
バンと閉めていたドアを静かに閉めるように気を付けたり、」
「キャハハ(笑)」
「本当なのよ。(笑)」
「Sちゃんだったら、連絡帳を忘れずに帰ったらまずお母さんに見せるように心掛けたり、
物を丁寧に扱ったり、人に思いやりを持って接していこうと心掛けたり、
先生も体験したからわかるよ。はじめは自分の音を全然聴けていなかったけど、
自分の音を丁寧に聴くことが少しでもできるようになると、
すごくうれしくなって生活の中に良い影響が出てくるんだよ。本当に不思議でしょ(^^♪」
神妙な面持ちで私の話を聞いてくれていたSちゃん。
先週の彼女のうれしい変化は、ピアノ指導者としてこの上ない喜びでした。
ピアノを通して、Sちゃんも他の生徒も
ステキな人に成長していってほしいと願っています。