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Yちゃんは、よく気が付く几帳面な女の子です。
 自分の前の子のレッスンを聴いて待っている間に、
必ず連絡帳に日付と練習してきた曲名を記入してくれるので、
私がレッスン後に連絡帳へ記入する手助けになっています。

そんなYちゃんが今週練習してきた曲は、
「グロースターの仕立て屋さん」という
両手ともに高音部を演奏するとてもメルヘンチックな曲です。
左手の各小節1拍目の音をレガートに(なめらかに)つなげるとメロディーになっていて、
右手はそれを飾る音が流れていきます。

ピアノの高音部は弦が短くて音の響きが低音部に比べて減りますが、
指をバタバタさせて弾くと、キンキンとけたたましい響きになってしまいがちです。
柔らかい音を出すには、手の位置や指の使い方を変えなければいけません。
Yちゃんはこの右手の音をいかにさりげなく柔らかく弾くか、
そして、メロディーをレガートに弾くことを
ずっと一生懸命練習して来ました。

「Yちゃん、すごく右手の音が静かになって揃ってきたね。
 メロディーもはっきりしてきたよ。」
「うん。でも、まだ右手がうるさくなっちゃう。」
 そこで、録音して聴いてみることにしました。

「やっぱり右手がうるさい!」
「そうね。もう少し右手の音量を落とせるね。録音してみるとよくわかるでしょ。
 先生も一度弾いてみるから、聴いてみて。」

「わあ、そんなに小さくしてもよく聴こえてる!私のはもっと大きい!」
「そうね。これだけ右手の音を落としても充分聴こえているでしょ。
 もっとメロディーがはっきりしてくるよね。
 自分で控えめに弾いているつもりでも、
 実際に聴いてみると随分大きな音で弾いていたりするものなのよ。
 第3者の耳になって聴いてみるとよくわかるでしょ。」
「うん。」
「Yちゃん、もう一度弾いてごらん」
 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
「わあ、すごく綺麗に流れてる!ステキ、ステキ!
 せっかくだからCDも聴いてみよう!」
 それからこの曲のCDを一緒に聴いてみました。
「Yちゃんと変わらないくらいだわ!すごいやん!」

うれしそうなYちゃん。
ピアノの音の可能性とその出し方弾き方を知って、
もっともっとたくさんの曲に出会い、
ピアノと音楽を好きになってくれたら、こんなうれしいことはありません。
そんなことを想い浮かべながら、わくわくしたレッスン時間でした(^^♪



プロフィール
HN:
番匠 浪路
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性別:
女性
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